あと数年で欧米の価値基準の主流が変わる!?LARPing EconomyとQuiet Luxuryはご存知ですか?

皆さんこんにちは。
いつもoomiya京都店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

突然ですが、高級時計を選ぶとき、何を基準にしていますか?

ブランドでしょうか。
デザインでしょうか。
資産価値でしょうか。
それとも、周囲からどう見られるかでしょうか。

高級時計には、昔から「ステータス」という側面がありました。
誰もが知るブランドを身につけることで、成功や経済力、社会的な立場を表現する。
しかしSNSが普及し、誰もが自分のライフスタイルを発信できるようになった現在、ラグジュアリーの価値観にも変化が生まれています。


今回はアパレル業界を中心に変化の兆しがある、ラグジュアリーの選び方から時計選びのヒントになるのではと思い、トレンドの変化をご紹介していきたいと思います。

LARPing EconomyとQuiet Luxury――「どう見られたいか」と「見せない価値」

LARPとは「Live Action Role Playing」の略。

もともとは現実の空間でキャラクターになりきる遊びを意味します。

そこから消費文化の文脈では、

「理想の自分を演じるために、モノや体験を利用する」や悪い意味では「お金持ちぶっている」

という意味で使われるようになっています。

例えば、

「成功者らしく見える時計」
「富裕層らしく見える車」
「仕事ができる人らしく見えるバッグ」

など。

高級時計にも、

「この時計を着けている自分は、成功しているように見える」

という心理が存在します。

これは必ずしも悪いことではありません。

「いつかこの時計を買えるようになりたい」という憧れが、仕事を頑張る理由になることもあります。

しかし、ここには一つの問いが生まれます。

「その時計は、自分自身のためなのか。それとも他人からどう見られるかのためなのか?」

一方で、近年注目されているのがQuiet Luxury(クワイエットラグジュアリー)です。

大きなロゴや分かりやすいブランド表現ではなく、素材、仕立て、ディテール、品質、そしてそれを知っていることそのものに価値を置く考え方です。

時計との相性は非常に良いでしょう。

ケースの仕上げ。
文字盤の質感。
針の形状。
ムーブメントの仕上げ。
ブレスレットの造形。

そうした細部にブランドの哲学が宿っています。

LARPing Economyが「こう見られたい」という外向きの価値観だとすれば、Quiet Luxuryは「分かる人には分かればいい」という内向きの価値観。

正反対に見えますが、共通しているのは、

「モノを通じて、自分がどうありたいかを表現している」

ということです。

Friction――機械式時計は、あえて「不便」である

もう一つ、時計と相性の良い考え方があります。

それが、

Friction(フリクション)=摩擦

です。

現代のサービスは、できる限り「摩擦」をなくす方向へ進んできました。

ワンクリックで購入できる。
スマートフォンですぐ決済できる。
翌日に商品が届く。
分からないことはAIに聞く。

便利であることが、良いサービスの条件になっています。

ところが、すべての「摩擦」が悪いわけではありません。

人は、ときに「手間をかけたもの」に対して、より強い愛着を持ちます。

料理を自分で作る。
革靴を手入れする。
カメラにフィルムを入れる。
レコードをひっくり返す。

そして、

機械式時計を巻く。

時間を見るだけなら、スマートフォンの方が圧倒的に便利です。

それでも私たちは機械式時計を選びます。

ゼンマイを巻く。
時刻を合わせる。
磁気に気をつける。
定期的にメンテナンスする。
革ベルトを交換する。
時計を磨く。

合理性だけを考えれば、必要のない作業です。

しかし、その「ひと手間」が時計との関係をつくります。

毎朝時計を手に取り、リューズを巻き、腕に着ける。

その小さな行為が、

「今日もこの時計と一日を過ごす」

という感覚を生みます。

便利さを追求した結果、私たちは逆に、

「あえて手間をかける贅沢」

に価値を感じるようになったのかもしれません。

3つの価値観から考える「良い時計」

ここまでの話を整理すると、

LARPing Economy
「どう見られたいか」

Quiet Luxury
「何を知っているか、何を大切にしているか」

Friction
「どんな時間や手間を楽しみたいか」

となります。

つまり、時計選びの基準は、

「一番人気の時計は何か?」

だけではありません。

「この時計は、自分のどんな部分を表現してくれるのか?」

まで広げることができます。

あと数年で欧米の価値基準の主流が変わる!?LARPing EconomyとQuiet Luxuryはご存知ですか?-Grand Seiko Glashütte Original IWC -S__1539561

派手な時計を選ぶ人も、控えめな時計を選ぶ人も、どちらも「自分らしさ」を時計に託しています。

だから、どちらが正しいという話ではありません。

重要なのは、「自分は、誰に、何を伝えたいのか」です。

これからの時計選びで考えたい5つの質問

では、実際に高級時計を選ぶとき、どんなことを考えればいいのでしょうか。

① この時計を着けて、どう見られたいですか?

「成功している人」
「品のある人」
「時計好き」
「遊び心のある人」

まずは自分がどう見られたいのかを考える。

それも立派な時計選びです。

② なぜ、このブランドなのですか?

「有名だから」だけではなく、

歴史なのか。
技術なのか。
デザインなのか。
ブランドの思想なのか。

ここを掘り下げてみます。

③ 人に説明できなくても好きですか?

誰にもブランド名を知られていなくても、

「自分はこの時計が好き」

と言えるか。

人から評価されなくても所有したいか。

ここに、自分自身の価値観が表れます。

④ その時計の「手間」を楽しめますか?

手巻きする。
メンテナンスする。
ベルトを交換する。
時計について調べる。
大切に保管する。

それらを「面倒」と感じるのか、「楽しみ」と感じるのか。

⑤ 10年後、その時計を選んだ理由を語れますか?

「流行っていたから」だけではなく、

「この時計を買ったとき、こんな仕事をしていた」
「人生の節目だった」
「ずっと憧れていた」

そんな物語が残る時計は、時間が経つほど特別な存在になります。

「高い時計」ではなく「自分にとって意味のある時計」

高級時計には、正解がありません。

誰もが知っているブランドを選ぶのもいい。

人とは違う時計を選ぶのもいい。

華やかな時計を選ぶのもいい。

一見すると控えめな時計を選ぶのもいい。

大切なのは、

「なぜ自分は、この時計を選んだのか」

を自分自身が理解していることです。

LARPing Economyは、

「どう見られたいか」

を考えるきっかけになります。

Quiet Luxuryは、

「他人に分かってもらわなくても、自分が価値を感じられるか」

を考えるきっかけになります。

そしてFrictionは、

「その時計と過ごす時間そのものを楽しめるか」

を考えるきっかけになります。

あと数年で欧米の価値基準の主流が変わる!?LARPing EconomyとQuiet Luxuryはご存知ですか?-Grand Seiko Glashütte Original IWC -IMG_6002

高級時計は、単なるステータスシンボルではありません。

かといって、単なる実用品でもありません。

その中間にある、

「自分自身を表現する道具」

なのだと思います。

これからの一本を選ぶために

これから高級時計を選ぶなら、

「一番人気は何ですか?」

だけではなく、

「自分は、この時計とどんな時間を過ごしたいのか?」

と考えてみてください。

そして、

「誰にどう見られたいのか」
「何に価値を感じるのか」
「どんな手間を楽しみたいのか」
「10年後にどんな思い出を残したいのか」

まで考えてみる。

そうすると、時計の選び方は少し変わってくるはずです。

高級時計の価値は、価格だけでは決まりません。

知名度だけでもありません。

資産価値だけでもありません。

自分の人生の中で、その時計がどんな意味を持つのか。

そこに、一人ひとり違った価値があります。

「高い時計を買う」のではなく、

「自分にとって意味のある時計を選ぶ」。

それが、これからの時代のラグジュアリーなのかもしれません。

10年後、20年後。

その時計を見たときに、

「流行っていたから買った」

ではなく、

「あのときの自分には、この時計だった」

と語れる。

そんな一本との出会いこそ、高級時計を所有する本当の楽しさなのではないでしょうか。