【ブランパン】ブランドの叡智と技術力の結晶~シックスマスターピース~

皆様こんにちは。中原です。
いつもoomiya京都店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

本日は【ブランパン】についてブログを書いてみようと思います。
最近は個人的に【ブランパン】の記事を書けていなかったので、基本を思い出す意味合いでも特定のモデルではなく【ブランパン】の偉業についておさらいしてみます。
そこで本日の内容は「シックスマスターピース」についてです。

【ブランパン】ブランドの叡智と技術力の結晶~シックスマスターピース~-BLANCPAIN -Blancpain-Manufacture-Le-Brassus

シックスマスターピースとは

1980年代、スイス時計産業は大きな転換期を迎えていました。いわゆる「クォーツショック」
日本発のクォーツ時計の登場と急速な普及により、長い伝統を誇った機械式時計の存在価値が揺らいだのです。
皆様もご存知の通り、【ブランパン】は一度、クオーツショックの煽りも受けて、休業状態に陥ります。
多くの老舗ブランドが経営難に陥り、廃業や買収を余儀なくされる中、あるブランドが「機械式時計の真価をもう一度世界に知らしめる」ことを決意しました。
そのブランドこそが、【ブランパン(Blancpin)】です。
休業状態の【ブランパン】を救ったのが、時計業界では“カリスマ再生請負人”として知られるジャン=クロード・ビバー氏
当時、衰退していた【ブランパン】を買収・再興し、ブランドの原点である「機械式時計専門」という路線を貫いた彼は、「ブランパンはクォーツ時計を一切作らない」と公言。まさに逆風の中で、職人の技術と情熱に賭けたのです。
多くの老舗ブランドが経営難に陥り、廃業や買収を余儀なくされる中、あるブランドが「機械式時計の真価をもう一度世界に知らしめる」ことを決意しました。
こうした決意や意思を体現したものが1983年~1989年にかけて開発・発表された伝説的な6種類の機構をそれぞれに搭載した6本のモデルです。これが「シックス・マスターピース」です。
超が付くほどの複雑機構をわずか6年間のうちにすべて実現してしまう所に、ブランドとしての技術力の高さを感じることが出来ます。

【ブランパン】ブランドの叡智と技術力の結晶~シックスマスターピース~-BLANCPAIN -complication_phase_de_lune

それでは簡単にそれぞれの機構を紹介していきます。

①コンプリートカレンダー・ムーンフェイズ(1983年)

現在のラインナップでも【ブランパン】らしさの象徴的なモデルとして君臨する機構。
月、日、曜日、月齢の4つを同時表示するコンプリートカレンダーにムーンフェイズを搭載。
古典的な美しさと実用性を両立し、今も多くのブランパン愛好家に支持される定番機構です。

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②ウルトラスリム(1983年)

こちらも現在でもよく目にするモデルです。
当時としては異例の厚さわずか8mmという超薄型自動巻きモデル。
薄型ながらもパワーリザーブや信頼性を犠牲にせず、ドレスウォッチとして完成度の高い1本です。
技術と設計の両面から、ブランパンの高い完成度を証明する存在でした。

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③パーペチュアルカレンダー(1985年)

三大複雑機構の一つ。
日付、曜日、月、閏年を自動で認識する高精度な機構。時代を超えて使い続けられる、まさに“時間を継ぐ”時計です。
現在でも製作はされていますが、店頭ではなかなか目にすることが出来ません。
フェアやイベントなど特別な時に、見ることができます。

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④ミニッツリピーター(1985年)

こちらも三大複雑機構の一つ。
音を奏でて現在時刻を知らせる超複雑機構です。
ケースの小さな空間にゴングとハンマーを仕込み、心地よく響くチャイム音を奏でるミニッツリピーターは、職人の熟練技の賜物です。

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⑤スプリットセコンド・クロノグラフ(1989年)

2つの秒針を独立制御することで、2つのタイム差を測定できるスプリットセコンド機能付きクロノグラフ。
スポーツや科学計測分野でも重宝される高度な機構で、クロノグラフの完成形とも言われました。
現在はなかなか目にすることが出来ませんが、ブランパンの歴史を語る上で非常に重要なピースです。

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⑥フライング トゥールビヨン(1989年)

最後の一本は、こちらも三大複雑機構。
回転するキャリッジ内にテンプを収めることで重力の影響を最小限に抑える「トゥールビヨン」。
それをさらに進化させたのが、支柱を取り除いた“フライング構造”。視覚的にも魅力的で、眺めているだけで時間を忘れる1本です。
こちらは現在でも製作されていますが、私自身も1回か2回ほどしか実物を見たことはありません(笑)
非常に美しい機構で、実用性も兼ね備えたモデルです。

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まとめ

極々簡単に6本のモデルをご紹介させていただきました。
「シックスマスターピース」のすごいところは、全てのモデルをわずか34㎜のケースに収めて製作されたところです。
そして、1991年に発表されたモデル「1735」は、これら6つの複雑機構すべてを1つの時計に集約した、まさに究極とも言える逸品。
製作には1人の時計師が数年を費やし、製造本数はわずか30本。
この時計の存在は、単なるプロダクトを超え、時計という文化と芸術の粋を結晶させたものだと言えるでしょう。
長い歴史の中で確かな技術力と、転換期をうまく活用し現在でも時計ブランドのトップを走っている【ブランパン】
私自身も大好きなブランドです。
【ブランパン】の魅力を少しでも皆様に知っていただき、ご興味を持って頂けたら幸いです。

投稿者:中原