知らない間にここまで進化している!?復帰したグランドセイコー信者が「SLGW007」を出来るだけわかりやすく語る。デザイン編。
皆様こんにちは。
いつもoomiya京都店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
久しぶりにoomiya京都店に戻ってきて、やっぱり語りたいのは【グランドセイコー】。
約2年間ほど武者修行をしている間に驚くほど進歩しているという衝撃にムチ打たれて早くも2週間。
やっと回復してきたので文章に落とし込んでいきます。
語れることが非常に多い時計ですので前半は「デザイン編」後半を「ムーブメント編」として2回に分けてご紹介いたします。
少しコアなお話をできるだけわかりやすく解説いたしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
今回ご紹介するのはこちらのモデル

9Sメカニカル ハイビート 36000
品番:SLGW007
価格: ¥1,342,000 (税込)
ムーブメント: 自動巻き(9SA4)
ケース素材: ステンレススチール
ベルト :カーフベルト
防水:日常生活用防水
サイズ: 38.6mm
その他特徴
最大巻上時約80時間持続
静的精度:平均日差+5秒~-3秒
パワーリザーブ表示機能
耐磁
秒針停止機能
裏ぶたに獅子の紋章つき
心に訴求する時間の概念とは?
こんな話を聞いたことはありませんか。
虫の音を「騒音」ではなく「声」として聴き分けられるのは、日本人特有の感性だという話を。
私たちは秋の夜に耳を澄まし、そこに季節の移ろいや時の流れを感じ取ります。
風や月明り、草木の変化といった些細な自然の表情から、静かに“時間”を読み取る文化。

その美意識を体現しているのが、グランドセイコーの掲げる「Nature of Time」です。
秒針の動きだけではない。
自然と共鳴する中にこそ、本質的な“時”がある――
それが日本が育んできた時間観なのです。
日本人と月明りの関係は?
「夜」というのは、本能的に恐怖を感じる時間帯なのかもしれません。
太陽が沈み、視界が奪われるだけで、私たちの感覚は一気に研ぎ澄まされます。
昼間には何も思わずに歩いているはずの道も、夜になるとまるで別の表情を見せる。
同じ電柱、同じ交差点、同じ足音。
それなのに、ふと背後に視線を感じたり、理由のない不安を想像してしまったりすることはありませんか?
それはきっと、人間の奥深くに眠る本能が、
「見えないもの」に対して警戒を促しているからなのでしょう。
だからこそ、夜の情景を描くときに欠かせない存在があります。
それが――月明りです。

完全な闇は恐怖を増幅させます。
しかし、月明りはその闇をすべて消し去ることはしません。
ただ、輪郭だけをそっと浮かび上がらせる。
闇と光のあいだにある、あの曖昧なグラデーション。
それが、夜を単なる「怖い時間」から、
どこか幻想的で、美しく、物語の始まりを予感させる時間へと変えてくれるのです。

それは、暗闇の中に差し込む「余白」のような存在。
想像をかき立て、感情を揺さぶり、
時に人を詩人にし、時に恋人にし、時に孤独と向き合わせる。
夜は恐怖を孕みながら、同時にロマンを秘めている。
そしてその両義性を象徴するのが、静かに空から降り注ぐ月明りです。
月明りに照らされた白樺の幹?
一見すると深く静かな紺色。
しかし光を受けた瞬間、その表情は一変します。

これは岩手県・雫石の白樺林を、月明りに照らされた情景として描き出したもの。
闇の中に浮かび上がる幹の陰影、静まり返った空気、そして澄み切った夜の気配。
単なるカラーリングではなく、“情景”そのものを文字盤に閉じ込めています。

型打ちによって刻まれた繊細なテクスチャーは、光の角度によって陰影を生み、
濃紺から青銀へと、まるで夜空が呼吸するかのように変化します。
それは決して主張しすぎることのない、美しい余白を宿した輝き。

腕をわずかに動かすたび、静かな森に差し込む月光のような揺らぎが現れる。
見るたびに違う表情を見せるからこそ、飽きることがありません。

グランドセイコーが掲げる「Nature of Time」。
それは自然を模倣するのではなく、自然の“空気感”までをも写し取ること。
今作 の文字盤は、時間を確認するための面ではなく、
静かな夜と向き合うための小さな窓のようです。
日本人による日本人の為に作られた腕時計?
今作の印象を一言で表すなら、
「日本人による、日本人のための腕時計」――まさにその表現がふさわしい一本です。
ケースサイズは38.6㎜。
世界基準で見れば決して大振りではないこのサイズは、腕周りが比較的細いとされる日本人にとって、驚くほど自然に収まります。
主張しすぎず、かといって物足りなさもない。
鏡越しに見たときのバランスが、実に美しいのです。

さらに、この絶妙なサイズ感は実用面でも大きな意味を持ちます。
日本人の美意識のひとつに「悪目立ちしない」という価値観があります。
場の空気を読み、調和を大切にする文化。
その中で腕時計に求められるのは、過度な存在感ではなく、品格ある佇まいです。

シャツやスーツの袖口にすっと収まり、動作の中で一瞬だけ覗く文字盤。
そのさりげなさこそが、大人の余裕を感じさせます。
華やかに自己主張するのではなく、
静かに、しかし確かに存在を示す。
それはまさに、ブランドがが体現する日本的な時計観そのもの。
今作は、サイズという数値以上に、“文化的なフィット感”まで計算された一本だと感じさせてくれます。
この時計が与える印象は?
この時計が他人に与える印象は、決して「派手」ではありません。
けれど、確実に“記憶に残る”存在感があります。
まず感じられるのは、落ち着きと知性。
ネイビーブルーの文字盤は強く主張せず、光の加減で静かに表情を変えるため、見る人に安心感と余裕を印象づけます。
声を荒げなくても説得力がある――そんな人物像と重なります。

さらに38.6㎜という絶妙なサイズは、「わかっている人」という印象を与えます。
過度に大きくもなく、小さすぎもしない。
流行に流されるのではなく、自分に合った選択をしていることが自然と伝わるのです。
スーツの袖口からふと覗くその佇まいは、自己主張ではなく“品格”。
時計好きの方が見れば「良い選択ですね」と心の中で頷き、詳しくない方でも「なんだか上品」と感じる。
それが、グランドセイコーらしい在り方。

華やかさで視線を奪うのではなく、
静かな完成度で信頼を積み重ねる。
今作は持ち主を必要以上に飾るのではなく、
その人本来の誠実さや落ち着きをそっと引き立てる時計です。
次回予告
次回は、いよいよ「ムーブメント編」をご紹介します。
外装やデザインだけでは語りきれない。
真にこの時計を特別な存在にしているのは、その内側――鼓動する機構です。
多くのブランドが研究し、模倣し、追いかけてきた存在。
けれど、追い付こうとした瞬間に、さらにその先へ進んでいる。
それが グランドセイコー というブランドの本質です。
精度への飽くなき探求。
実用性と美観を両立させる設計思想。
そして「理論」だけで終わらせない、日本の職人技術。
常に時計業界の二歩先を歩み続ける理由はどこにあるのか。
なぜ世界の名だたるブランドが一目置くのか。
次回、その核心に迫ります。
ぜひご期待ください。


