【グラスヒュッテ・オリジナル】を愛してやまない内田が語る「パノリザーブ」の魅力とは?~ムーブメント編~

皆様、こんにちは。
グラスヒュッテ・オリジナルと言えば内田、内田と言えばグラスヒュッテ・オリジナルというくらいグラスヒュッテ・オリジナル愛が止まらない私が今回も魅力を皆様にお伝えしていこうと思います!(笑)


第一弾の記事は既にご覧いただきましたか?
まだの方はこちらもご覧くださいね。↓↓

今回ご紹介する時計はこちら!

パノリザーブ
品番 :1-65-01-23-12-61
価格 :¥1,562,000 (税込)
ムーブメント :手巻き(自社製キャリバー 65-01)
ケース素材 :ステンレススティール
ベルト :ヌバック
防水 :5気圧防水
サイズ :40mm

前回ご紹介しました「パノリザーブ / 1-65-01-22-12-61」の色違い、グレー文字盤となります。
ヌバックのベルトで合わせているのが珍しく、ドレッシーになりすぎないので普段の服装にも合わせやすい一本です。


こちらのムーブメントは自社製ムーブメントの「キャリバー65-01」を搭載しています。
稼働時間は42時間、手巻きのムーブメントになりますが、文字盤には稼働時間の残量を示すパワーリザーブ表示や日付表示は一の位と十の位が独立して動く、パノラマデイト機能を搭載。
デザインに注目されがちですが、大きくて見やすい日付表示やパワーリザーブ表示は時計を使う上ではあると助かる機能で、ドイツメイドらしい実用性も兼ね備えた時計です。

それでは早速、ムーブメントについての魅力を語っていこうと思います。
グラスヒュッテ・オリジナルはデザインや機能面の良さもさることながらムーブメントにはさらに魅力が詰まっていて、思わず語りたくなってしまう作り込みです!

①3/4プレート

時計を裏返してまず目に入るのがこの3/4プレート。
名前の通りですが、ムーブメントの4分の3を覆う一体型の受けのことです。
スイス時計製造とは異なる技法で、香箱からガンギ車までのすべての可動部品を収容し、多くの歯車の軸をプレートで固定しています。
この構造のおかげで、ムーブメントが安定し衝撃や耐久性強くなるだけでなく、ムーブメントに個体差(良し悪しのばらつき)が出にくくなるため、クオリティーの高い時計が安定して作れるメリットがあります。
スイスや日本の時計はこういったプレートはなく、プレートを細分割したもの(ブリッジ)で歯車を固定しています。
ムーブメントの見た目から違うので、3/4プレートがチラリと見えたら「ドイツメイドですか?」と聞くとオーナー様はきっと喜んでくれるはずです!(笑)

②グラスヒュッテストライプ仕上げ

3/4プレートにストライプの仕上げが施されています。
これがドイツ・グラスヒュッテ地方の高級時計に特有の装飾仕上げ技法です。
これは高級時計に見られる装飾で、高級感や美観を高めるための仕上げを加えています。

スイスではよく「コート・ド・ジュネーブ」と言われる装飾と見た目が似ているかと思いますが、実はスイスメイドとは少し違いがあり、グラスヒュッテ・オリジナルならではの独自のルールがあるのはご存知でしょうか。
それは「刃をプレートに当てる角度は45°」ルールです。
恐らく、?マークが浮かんだ方もいらっしゃると思いますので、細かく解説すると…
通常であれば、プレートに回転する刃を当てて線を引くことでストライプの模様が1本ずつ完成していきます。
グラスヒュッテ・オリジナルの場合はそれだけではありません!
プレートに回転する刃が当たる角度を45°になるように押し当てて線を引くのです。そうすることで、より一層彫りが深くなり、より美しい輝きを放ちます。
肉眼で見ていても角度によって輝きが大きく変わり、思わずじっと眺めてしまいたくなるほど凄く綺麗です。

この45°ルールがあるということは、このルールを作るときにどの角度がより一番綺麗に見えるかをいろいろ試したうえでの結果なのだろうな・・と私は推測しています。そういうことを想像してしまう時間もこのブランドの醍醐味です(笑)

③ダブルスワンネック

ダブルスワンネックはグラスヒュッテ・オリジナル独自の機構で、機械式時計の精度をより細かく調整するための機構です。それぞれのスワンネックが微調整を担っています。
金属アームの湾曲したバネの形状が、2羽の白鳥(スワン)の首のように見えるためこの名前がつけられました。
単に進み遅れを直すだけでなく、精度の安定性・美しさ・対称性のために使われているのがこの機構の特徴です。

どうやって調整するのか?
スワンネック部分にある緩急針を動かすことによって精度を調整します。
U字に湾曲したバネ(スワンネック)によって緩急針がネジ端部に押し付けられており、このネジを回すことで緩急針を両方向に動かすことができます。

何を調整しているのか?
1つ目のスワンネック:歩度調整
・緩急針がヒゲゼンマイの外側に軽く触れており、緩急針を動かすことによりヒゲゼンマイの有効長(自由に動ける長さ)を変えて、テンプ(振り子のようなもの)の振動周期(つまり「速さ」)を変えることができます。
 ⇒時計の進み・遅れ(歩度)を微調整します。

2つ目のスワンネック:アンクルの位置、テンプのバランス調整 ⇐グラスヒュッテ・オリジナル独自装備
・緩急針を動かすことにより、テンプの振りが左右対称になるようにアンクルの中立位置(センター)を微調整します。
 ⇒これにより「チックタック」のリズムが整い、安定して時間を刻めるようになります。

2つ目のスワンネックはグラスヒュッテ・オリジナルが作り出したオリジナルの調整機構になりますので、

◇なぜダブルスワンネックなの?
近年の時計業界では、スワンネックの機構や緩急針を使った調整機構はほとんど見られず、緩急針を持たない機構の“フリースプラング”がよく見られるようになりました。
それぞれのメリット・デメリットはありますが、グラスヒュッテ・オリジナルはそういった点ではなく、あくまでも審美性と伝統技術の継承としてあえて採用しています。
スワンネック調整機構を採用している時計は少ないながらにもいくつかありますが、スワンネックが時計に2つもセットされている時計はグラスヒュッテ・オリジナルのパノシリーズしか存在しておらず、より細かいレベルで時間の調整が可能になります。

他には真似できない唯一無二な機構というのもこの時計を手に入れる意味があると私は感じています。

④狂気すら感じる面取り

グラスヒュッテ・オリジナルでは4分の3プレート、ブリッジや細かいパーツに至るまで、面取りと最終仕上げ(磨き)を行います。
ムーブメントのパーツを機械で大まかに角取りを行った後、なんと一つ一つ手作業で面取り加工をしています。

しかも、面取りを行う際の角度まで「45°」と厳格に決められています。
こうすることで視線と光を集めて美しい輝きを放ちます。

特にスワンネックのカーブしている部分の内側は面取りが大変難しく、1つのスワンネックが完璧な状態になるまでに4時間もの時間を費やすと言います。
・・・ということはパノシリーズは全てダブルスワンネックなので・・・8時間!?!
一日の労働時間分、小指の先よりも小さなパーツをひたすら磨いていると思うとゾッとします。(笑)

想像するだけでも大変な作業ですので、こういったムーブメントのパーツまでを人の手で仕上げでいるブランドは少ないのが現状です。
一般的には500万円以上の高価格帯の時計でやっと手作業での仕上げがちらほら出てきますが、100万円台で手に入る時計でここまでこだわって作っているブランドはほどんどありません。
本当にこの金額で採算取れているの!?と思ってしまうほど、ものづくりに手間を惜しまない逆ぼったくりな作り込みです。

ここまでを踏まえたうえで、ムーブメントをご覧ください。
特に面取りやグラスヒュッテ・ストライプなどの仕上げの綺麗さに注目です!

場所を移動すると…

いかがでしょうか。
だんだんとグラスヒュッテ・オリジナルの魅力が伝わってきましたか?
まだまだムーブメントについては語りたいのですが、長くなってしまうので今日はここまで!!
また続きの“ムーブメント編”を書いてアップしようと思います。
第三弾をお楽しみに!!

投稿者:内田